産業廃棄物の性質に合った処分が可能な3種類の最終処分場があります。今回は最終処分場についてまとめます。
最終処分場とは?
産業廃棄物を処理する際には、「収集・運搬」「中間処理」「最終処分」の3つのステップを踏みます。
産業廃棄物は、破砕、粉砕、脱水、焼却、リユース、リサイクル、ふるい分け、などの中間処理後に、最終処分場へ持ち込まれます。中間処理によって産業廃棄物の量を約半分に減らすことができます。
最終処分場とは、中間処理を終えた産業廃棄物を埋め立てたり海に投棄したりすることで、廃棄物を安全な状態で埋め立て処分できる構造物を言います。
最終処分場の種類
最終処分場は、環境保全上の観点から汚水の流出、地下水汚染、廃棄物の飛散、ガスの発生、鼠族昆虫の発生などを防止するため、廃棄物処理法により「遮断型最終処分場」「安定型最終処分場」「管理型最終処分場」の3つに分類されています。
また、それぞれの処分場には、埋め立てできる産業廃棄物の種類、最終処分場の構造基準や維持管理基準が定められています。
環境保全の観点から安全に埋め立て処分できる構造物が産業廃棄物の最終処分場です。
安定型最終処分場とは?
有害物質や有機物の付着がなく、雨水などにさらされてもほとんど変化を起こさない安定型産業廃棄物を埋め立て処分するのが、安定型最終処分場です。
安定型産業廃棄物以外の廃棄物の搬入防止を目的として廃棄物の展開検査、浸透水の水質分析が義務付けられています。
安定型最終処分場で処分される廃棄物は、有害物質を含まず、ガスや汚濁水が発生しないことから環境汚染の恐れがないとされているので、処分場の内外を遮断するための遮水工の設置義務はありません。
ここで処分される廃棄物の種類は、安定5品目とも呼ばれている、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、コンクリートくず、ガラスくずの他、がれき類、および陶磁器くず、または環境大臣が指定したこれらに準ずる品目です。
参考資料:環境省
遮断型最終処分場とは?
遮断型最終処分場は、我が国の最終処分場としては最も隔離性能が優れた処分場です。
安定型最終処分場と違い有害物質の含まれる廃棄物の搬入があることから、処分場内部への雨水流入防止を目的として屋根による覆いや雨水排除設備が設置されていることや周辺環境と遮断する水密性鉄筋コンクリート鉄筋をした頑丈な作りとなっています。
また、処分場の維持管理基準として、有害物質を埋め立て処分していることから長期間の維持管理が必要となり、埋め立て処分後に外周仕切設備と同等の内部仕切設備により閉鎖することが定められています。
日本には、遮断型最終処分場は30施設程度しかなく希少な施設です。
管理型最終処分場とは?
管理型最終処分場は、遮断型最終処分場でしか処分できない廃棄物以外の廃棄物の埋め立て処分を行います。
燃えがら、汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、鉱さい、ばいじん等(飛散防止措置を施した廃石綿等を含む)安定型最終処分場に埋め立てる以外の産業廃棄物で、かつ有害物質の含有量が埋立判定基準以下である廃棄物を埋め立てます。
あらゆる廃棄物が処分されるため、動植物性残さやふん尿、死体による腐食や分解、金属の溶出などによって汚濁物質を含む保有水やガスが発生します。
そのため、底面に遮水工を有し、集めた雨水や浸出水は浸出液処理施設で放流基準以下まで浄化した後にる処分場の外に排出します。
一般的には、各市町村が有する一般廃棄物最終処分場と同じ構造となっています。従って、安定型最終処分場で処分可能な安定型産業廃棄物は、設備や基準の面からみれば管理型最終処分場で処分可能です。
しかし、安定型最終処分場で処分した方がコストが低く処分可能であり、管理型最終処分場を長く使うためにも安定型最終処分場で処分されます。
法令等の見直しによる基準等の変更には注意
法令はいつどのように変わり、施行されるかわかりません。
法令により産業廃棄物の処理方法は変更されることがありますので、常に注意を払っておくことが大切です。
まとめ
最終処分場は3種類あります。
- 安定型最終処分場
安定型品目を処分する。 - 遮断型最終処分場
有害物質を含み周囲の環境と隔離管理が必要な廃棄物を処分する。 - 管理型最終処分場
遮断型最終処分場でしか処分できない廃棄物以外の廃棄物を処分する。
事業活動に伴い生じる産業廃棄物には、有害物質や有機物が含まれていることもあるため、「収集・運搬」「中間処理」「最終処分」の3つのステップを踏んで適切に処分することが大切です。
現在、日本では大量の廃棄物が排出され、廃棄物焼却による温暖化問題や廃棄物の海外への輸出問題など、廃棄物の処分方法が課題とされています。
問題解決のためには一人ひとりが廃棄物を出さない努力をすることが大切です。